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手紙の返事 第2話

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で、どうするの? と母親は尋ねた
…やっぱり、考えたけど、学校で渡すのはやめておく、今日はやめる
そう、それなら置いておきなさい

それじゃ、行ってきます
行ってらっしゃい

今日はそのまま登校することとなった

話は少し前に遡る
少女の通っている中学でささやかだが深刻な事件が起きたのだ

手紙を渡そうとした所を、その子は友達に見つかってしまい、
周囲に知られてしまったのだ

そのため、返事を渡すに当たって、少女は慎重に事を運ぶことにした
警戒すべき内容はあるのだ

別のケースでは、
手紙を見た両親が過剰反応してしまい、
母親が娘に事情を聴き出してしまったのだ
慌てた母親は周囲にまで「相談」し、触れ回ってしまったから大変である

クラスにまで知られた当事者も、受けた側も晒し者である、
これでは、秘密も本人の意思も無い、どうしたらいいか

男女の手紙のやり取りは、保護者会でも何回か議題に出ていた、
結論として、生徒同士の手紙のやり取りそのものは「保留」
ということで、なかば黙認となっていた

母親が引き留めたのも、保護者会での会話があるためであった

ああ、あの子ね、知ってる、お母さんたちの間でも話題に
なっていたから、そう、持久走でトップを取った子でしょ

うん、そうだけど

お母さん、わかる、けど、
手紙の返事は学校では止めた方がいいと思う、前のこともあるし
この前、保護者会でびっくりした、こんな話があるのね、と話していたもの

少女は悩んだ末ではあったが、母親に相談したのだった

続く